サン・シールド株式会社と共同で、四足歩行ロボットを用いて下水道管内の走行・撮像を無線遠隔操縦により行う実証実験を行いました。
開発の背景・課題
老朽化が進む下水道インフラでは、定期的な内部点検が不可欠でありながら、現場作業には換気や防毒マスクの着用、ガス測定といった高度な安全対策が求められます。
特に、内径1,100mmのような狭小な管路では、作業員の立ち入りが難しく、点検業務の大きな負担となっていました。また、少子高齢化に伴う労働者不足が進行する中、これらの作業を人手で行い続けることは将来的に困難となるため、省人化・遠隔化が喫緊の課題となっています。
ご提案内容・開発のポイント
サン・シールド株式会社と協力し、最新の四足歩行ロボット「Go2-W」(Unitree社製)と、当社開発のロボット制御システム「iVoRi Box」を組み合わせた下水道点検手法を実証しました。
本取り組みは、地下7mの環境において、地上からの無線遠隔操作による管内走行・映像取得の完全無人化を実現するものです。
■ 安定した無線通信による遠隔操縦
地下7mの立坑を通じてWi-Fi AP(アクセスポイント)1台のみを設置。通信が困難とされる環境下でも、地上拠点からのロボット操作・映像監視を安定して行えることを確認しました。
■ 高い走破性能による安定走行
不整地・湾曲・段差を含む実管路(約340m)でも、ロボットは接地面に柔軟に対応しながら自然な中立姿勢を維持。左右方向の操作をほとんど必要とせず、高い自律性と操作安定性を発揮しました。
■ ロボット制御システム「iVoRi Box」
当社開発のiVoRi Boxは、四足歩行ロボットの制御と映像・センサーデータ取得を統合管理するDX対応システムです。
- 4K・PTZカメラ、LiDARを搭載
- 自律走行(LiDAR-SLAM)や人物・ライン追従に対応
- 自己位置推定機能により、遠隔地からの状況把握を支援
導入効果
- 作業員の安全性向上 有毒ガスや狭小空間など危険を伴う作業環境でも、人が立ち入ることなく状況把握が可能。
- 点検業務の省人化・効率化 地上での単独操作で完結できるため、人員・作業コストを大幅に削減
- 遠隔監視による判断の迅速化、高精細映像を現場外からも即時に確認でき、災害時や突発対応にも有効
今後の展望
今後は、より多様な現場環境に対応するため、以下の技術強化を進めてまいります。
- 通信環境が不安定な現場における「無線操縦の安定化」
- ロボットの「防水・耐熱性の強化」
- 「ズーム・打音・360°映像」による高精度点検の実現
- 「AIによる異常検知機能」の開発による判断業務の高度化
関連リンク
【ポケット・クエリーズ】サン・シールドと地上拠点からの無線遠隔操縦で四足歩行ロボットによる下水道管内走行・撮像に成功に関するプレスリリース
